理学部と可視化GP

 本プログラムの目標は高等教育機関におけるコンテンツクリエイタの養成です。 理学部の各専門分野で理学の基礎学力と専門性を身に付け、 更に可視化GPを履修することにより、学際性と情報発信技術の取得を目指します。 自分の知識と興味に応じてコース選択を行い、 コンテンツクリエイタやプロデューサの認定を受けることで、スキルと学際性を高め、 より高度で多彩な職種への適応力を身につけることが期待されます。

数学科と可視化GP

 数学教育において、コンピュータを用いた可視化によるイメージの具体化は抽象概念習得の助けとなります。 最も基礎的な線形代数の内容だけを取ってみても、2次曲面の断面に現れる2次曲線を見せたり、 3次元空間の線型変換の様子を見せるといった利用が考えられます。 こうしたことから、4年次の卒業研究などに可視化を活用することも期待されます。

可視化GPでは、ボリュームレンダリングの授業のうち、1〜2コマ程度を数学科教員が偏微分方程式(流体・波面の方程式)、 ソリトン、数学的ブラウン運動と熱方程式解等を教え、 後の演習では基礎数学から高等数学まで様々な対象についての可視化を実行させる予定です。 これらは数学科のどの年次の学生にとっても有意義なものとなります。

物理科学科と可視化GP

 物理学のより良い理解にとって可視化は有効な手法であり、既に教育においても、 幾つかの可視化用ソフトウェアが利用されていますが、さらなる可視化教育の深化が望まれます。 そこで可視化GPを活用し、物理科学科の学生も一連の授業を受講することで、 物理学で扱う現象や概念の直感的な理解が一層深まると期待されます。 可視化の対象として、例えば電磁気学における電界・磁界、光の伝搬、量子力学における波動関数、 粒子の散乱、統計力学におけるイジングモデル等々、多数の題材が考えられます。

ボリュームレンダリングの授業のうち、1〜2コマ程度を物理科学科教員が担当し、 適当な題材を選んでその物理的内容について可視化を念頭においた講義を行い、 それに続く演習でこれらを具体的に可視化するといった授業の進め方が、 可視化GPの主目的(クリエイター養成)以外にも、物理学の新たな教育手法となり得えます。 また教員を目指す学生に対しては、物理(理科)の教材開発ができる能力を身につけられるという事にもつながると期待しています。

化学科と可視化GP

 化学が対象としている原子・分子は直接観察することが困難であり、 古くから分子模型が研究に役立てられてきました。 この分子模型の役割は、近年のコンピュータの発達によりコンピュータを用いた分子モデリングにとって代わられてきています。 また現代の化学研究では、原子・分子の性質や反応性を理解するために量子力学に基づく電子状態の計算が日常的に行われていますが、 その膨大な計算結果を活かすためには可視化技術が極めて有用です。 一方で、化学と可視化が密接に関係する分野として、デジタル技術と蛍光分子を用いた細胞機能の可視化や圧力センシングがあり、 近年著しい発展を遂げています。 このような技術を活用し、さらに新たなイメージング技術を開発するためには蛍光分子に関する化学的素養が必要不可欠と考えられます。

そこでボリュームレンダリングの授業のうち、1〜2コマ程度を化学科教員が担当し、 化学研究のための可視化技術として分子モデリングの基本について簡単に紹介するとともに、 蛍光分子を用いたイメージングの化学的基礎に関する授業を行う予定です。

生物科学科と可視化GP

 近年、生物学の分野においても、映像(静止画像、動画)のデジタル化が進んでいます。 デジタル画像は組織学などの形態を扱う分野だけでなく、生理学、分子生物学などにおいても普及しており、 デジタル技術無しでは現在の生命科学の進歩は考えられません。 しかしながら、生命科学を扱う学生に対してデジタルコンテンツに関する教育プログラムはこれまで行われていませんでした。 今後、生命科学の分野へのデジタル映像のさらなる浸透に伴いこのような技術を有した人材が求められることも明白です。 生物学の知識・技術と情報科学、特に映像に関する知識・技術を習得した高度技術者を育成することで、 彼女達による生物学における新たなイメージング手法の確立が期待できると想定されます。

以上のことを現実のものにするために、可視化情報学の中で生物科学科教員によるバイオイメージングの講義を1コマ程度、 デジタル映像処理の中で専門家によるCCDカメラ等のハードウェアに関する講義を1コマ程度含ませる予定です。

情報科学科と可視化GP

 情報科学科での可視化GPの位置付けは、単に可視化教育が追加されるというのではなく、 IT技術がどのように使われるかを体験するところにあります。 情報科学科の教育を受け、エンジニアとして社会に出た時、 多くの場合何らかのシステムやコンテンツを開発することが多いかと思いますが、 重要なのは開発手法を身に付けていることよりも、むしろ対象を理解していることなのです。 そのため上に説明のある各分野と可視化GPの関係は、情報科学科の学生にも非常に大切です。 従って、可視化GPを受講する情報科学科学生には上記も合せて受講してもらうことになっています。