衛星センサーを用いた雲の研究

地球環境観測衛星に搭載された、可視・赤外波長帯に感度を持つ受動式光学センサによる観測データを解析することにより、地球大気における雲特徴量の分布を導出することを目標にしている。 このために、人工衛星で観測された画像データから、雲の特徴量を抽出するアルゴリズムの開発を行っている。 具体的には、現在、人工衛星ADEOS-IIに搭載されたGLIセンサによる観測データを解析し、雲の光学的厚さ、雲粒の大きさ、そして雲の高さや幾何学的厚さを導出する研究を行っている。図に解析結果の一例を示す。

開発した推定アルゴリズムをGLIのデータに適応した。
その結果、RGB画像(図左下)で黄色い砂だと思われるものが、推定結果でも黄砂と判定されている。現在検証を進めている。

雲画像 雲画像2 雲画像3 雲画像4

ADEOSII/GLIデータの解析結果。2003年03月20日、日本近海の雲を対象にした事例。各パネルはそれぞれ次の通り: (a) 雲の光学的厚さ、(b) 雲粒の大きさ、(c) 雲頂の高さ、そして(d) 雲の幾何学的厚さ。また、各パネルのカラーコードは、それぞれの最大値(白)と最小値(黒)で線型に規格化した、相対なものである。

今後は、開発した推定アルゴリズムを、地球観測衛星データに適用して、雲特性量の全球分布とその動態についての研究を進めて行く予定である。