地球大気 大気汚染の研究 / Monitoring of air pollution from space

主に対流圏の大気汚染に着目し、二酸化窒素やオゾンをはじめとする化学種の衛星データ解析を進めています。地上観測データや数値シミュレーションデータも用いながら、日本やその周囲の大気汚染がどのようになっているか、経年変化や日変化といったことに着目しながら、解析を進めています。また、国際的な地球観測ミッションの検討にも参加し、次世代センサの研究開発に貢献しています。

We are analysing observational data of air pollutants such as nitrogen dioxide (NO2) and ozone (O3), which are obtained by Earth observation satellites. We are also joining an international mission of Earth observations and contributing to the development of future sensors.

東アジア域における対流圏二酸化窒素の観測データの解析 / NO2 in the East Asia and air pollutions

人工衛星を用いた対流圏化学種の観測は1990年代から本格的に行われるようになり、大気汚染監視に役立っています。我々は、特に自動車の排ガスや発電所や工場からの煙に含まれる二酸化窒素に着目し、地上観測網のデータとも比較しながら大気汚染実態の把握に努めています。

Figure 1: Nitrogen dioxide over East China / West Japan observed by ENVISAT / SCIAMACHY (retrieved by IUP/Bremen, Germany)

左の図は、地球観測衛星エンビサット(ENVISAT)に搭載されたスキアマキー(SCIAMACHY)センサによる二酸化窒素の濃度(気柱量)分布です。二酸化窒素は、自動車の排ガスや発電所などの工場からの排煙に多く含まれており、人体に有害であると共に、光化学スモッグの原因(前駆体)の一つに挙げられている汚染物質です。図を見ると、経済発展の著しい中国(図の左端に見えているのは上海付近)から大量の二酸化窒素が海洋上に広がっていることがわかります。我々は、ドイツ・ブレーメン大学との共同研究関係の下で二酸化窒素データの供給を受けながら解析を進めています。

次世代センサ開発のための基礎的な観測シミュレーション / Feasibility study for the development of future sensors

次世代センサの開発に当たっては、どの程度のスペックでどの程度の誤差になるかということを見積もる必要があります。本研究室では、ドイツ・ブレーメン大学との共同研究を行いながら、地球大気の放射伝達モデル(SCIATRAN)を利用して地球大気スペクトルを計算し、実際の観測アルゴリズムを適用してどの程度の精度で大気汚染物質の濃度が観測可能か評価を進めています。